今回は、事業全体で取り組んでいる[FD/SD研修会の開催]について、ご紹介します。
本事業では、全国の大学教職員の皆様を対象とした各種研修会や講習会を開催しており、毎回ニーズや関心に即したテーマを考え企画しています。これまで、「合理的配慮」をテーマとして複数取組合同で実施したものや、「キャリア発達支援」「聴覚障害学生の語学教育」など特定の取組に特化したもの、ノウハウの共有を目的とした分科会等を様々な研修会を開催してきました。
このほか、各大学からの依頼に応じて、研修会等への講師派遣も行なっています。その際には、開催の目的や参加者対象者のほか、支援の実施状況等を依頼大学に確認しながら、内容を立案します。また、最近では、障害学生の受け入れに関する相談に対応する中で、支援体制の整備に向けた学内啓発として、研修会開催をご提案する例も増えています。
上記のように相談から研修会の実施に至った例を、担当者からご紹介します。
他大学の教職員を対象としたFD/SD研修会開催の取組
執筆:宮城愛美([視覚障害学生の修学支援]取組担当)
障害のある学生のニーズは様々ですので、個別の配慮を提供するためには、修学における各場面で具体的な対応方法を検討する必要が出てきます。全盲の学生が初めて入学したある大学からの相談事例をご紹介します。
学生の入学前後に、一般教育を担当する先生方から視覚障害学生支援の考え方や対応方法についてご相談があり、アドバイスを差し上げました。入学後の5月には、関係する教職員を対象に視覚障害学生の修学支援に関するFD/SD研修会を開催することになり、講師として参加しました。一般教育・学部の教員、事務職員、保健管理センターの看護師などいろいろな立場の方が参加され、関心の高さがうかがえました。その後も折に触れて、専門分野の学習資料や就職を見据えた資格取得についてご質問があり情報提供を行ないました。就職活動を控えた3年次の後半には、所属する学部の先生から視覚障害者の就労に関し
て情報が欲しいというご相談があり、研修会講師としてお話ししたところ、学生本人や学科の先生方を始め多くの教職員の方が参加され、情報を共有することができました。
他にも本事業では、体育などの実技を要する授業についての講習や、学習資料の作成について支援学生向けの講習会を実施した例もあります。障害学生の入学から卒業まで、場面ごとに必要な対応方法がありますので、状況に応じた形で研修会開催にご協力させていただいています。