情報保障
執筆:宇都野康子(「情報保障」担当)
[情報保障]の取組では、パソコンノートテイク・情報保障に関するご相談に対応するほか、他大学で開催されるパソコンノートテイク講習会等へ講師を派遣しております。
私は、講習会の依頼をいただくと、可能な範囲でパソコンノートテイクを利用する学生の参加をお願いすることにしています。利用学生はみな同じニーズではないため、利用学生から直接ニーズを聞くことが大事だと考えているからです。
先月、都内の大学からの依頼でパソコンノートテイク講習会に行ってきました。今回の依頼は2回目で、利用学生にも半年ぶりに再会しました。初回の講習会の際には、「全部入力するのは難しいと思うので・・・」や「(情報が不足していても)仕方ないですよね」と、少し遠慮がちなように見えました。その時に、「自分が必要だと思う支援を言ってくれたほうがいい。職員さんも、支援学生もあなたのニーズにどう応えるかを考えてくれるはず」と伝えました。
先月の講習会では、同じ利用学生に希望する情報を聞いてみたところ、「他の学生の発言は入力・表示をして欲しい」と受講生の前で発言していたのが、印象に残りました。このような体験をとおして、自分のニーズを周囲に伝える経験になるのではないかと思いました。
キャリア発達支援
執筆:石原保志(「キャリア発達支援」担当)
筑波技術大学の学部卒業生(就職希望者)の就職率は毎年度、ほぼ100%である。特別なカラクリはない。正真正銘の実数である。しかし特別な支援は行っている。就活をしようとしない学生の尻叩きである。
就活真只中の時期になっても、自ら動かない学生が何割かいる。誰かが何とかしてくれるだろうという思いが透けて見える。少人数教育故にすべての学生に細かく目が行き届くのは本学の長所である。しかし幼少期から「やってもらう」ことに慣れてしまっている学生は、自分の未来は自分が作っていくという意識が希薄である。心身機能の障害は個人の活動参加だけでなく活動環境自体にも影響を及ぼす。現実社会の中に身を置き、多様な体験の中で意思決定をしてきた学生は、今自分が何をすべきか、自分の適性や能力の中で何が出来るかを客観的視点から考える。
しかし庇われる(と本人が思ってしまう)環境の中で意思決定の機会を逃してきた(奪われてきた)学生は、自らの行動で自己の未来と環境を築いていくという意識に乏しい。このことが本人のキャリア発達を阻害する。そういう学生に、主体性を持って考え、行動させることを促すために、尻を叩く。ただ尻叩き(はたらきかけ)のタイミングや方法を誤ると、かえって受動的姿勢に入ってしまう。『教育的介入』の技術が求められる。