メールマガジン No.009 FD/SD研修会の開催

FD/SD研修会の開催

執筆:宇都野康子([キャリア発達支援]担当)

平成28年12月2日に開催したFD/SD研修会「大学等における障害学生のキャリア発達支援」に関連したコラムとさせていただきます。

会場内で「なぜ今キャリアをテーマにした研修会を開催したのですか?」とご質問を受けました。今回のテーマを選定したのは、いろんな理由がありますが、1つには障害者差別解消法が施行されたことが挙げられます。日本学生支援機構が実施している「障害のある学生の修学支援に関する実態調査」の結果からも、今後も障害のある生徒の大学進学者は増加することが予想されます。近年では数多くの大学等に障害学生支援室が設置され、修学支援の体制整備、授業支援の取組が進められています。これらの修学環境の整備と併せて、キャリア形成と就労、大学から社会への移行支援についても、これからの大学に求められる役割であると考えたためです。

今回の研修会で印象に残ったエピソードをご紹介します。本事業の取組「体育・スポーツへの支援」を担当している天野和彦准教授のパネルディスカッションの発表の中でのことです。発表の最初に、フロアの皆さんに「スポーツが好きな人?」「スポーツが嫌いな人?」という質問をしました。さらに、「どうして好きor嫌いなのかを思い浮かべてください」と。

その後、「その答え(好きor嫌い)を意思表示するための体験があったからではないですか?」という問いかけがありました。「おそらく、障害学生にはそういった経験が少ない、もしくは無いのではないか。」と話す天野准教授が担当している視覚障害を持つ学生の中には、体育の時間はほとんど見学をしてきたため、体育やスポーツの経験が極めて少ない学生もいたようです。それが理由なのか、初めてのスポーツに対して「できません」という傾向があるそうです。「やったことはあるの?」と問いかけると「やったことはありません」と答える。それでどうして「できない」と分かるのか?それは体験や経験の貧弱さから、自分と対象(この場合は体育やスポーツ)との距離を感じているためではないかという内容でした。

石原副学長も、FD/SD研修会の総論の中で「社会的体験の不足」を挙げています。スポーツに限ったことではなく、実際の体験、経験を通して、自己肯定感、自主性、自信を得ていけるのだというお話が、障害の有無、また学生・社会人によらない、キャリア発達上の視点だと思いました。

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