【ろう者学豆知識】電話リレーサービス
執筆:管野奈津美([ろう者学]担当)
『電話リレーサービス』についてご存知でしょうか。電話リレーサービスは、オペレーター(通訳者)が耳の聞こえない利用者の代わりに電話をかけ、利用者が手話で話す内容、もしくは文字で打った内容を音声に変え、そして相手が話す内容を文字や手話に通訳してくれるサービスです。欧米では、公的サービスとして実施されている国もあり、24時間いつでも利用できるところもあります。しかし日本では残念ながら導入が遅れており、日本財団電話リレーサービスモデルプロジェクト(http://trs-nippon.jp/)による試行サービスがありますが、24時間利用できない、通訳者の不足等、まだまだ課題も多くあります。
大学内で、聴覚障害学生が電話をかける必要がある場合、どうしているのでしょうか。私の場合は、事務の方や友人にお願いしていましたが、個人情報もありますので、電話をお願いするのも億劫でした。しかし、日本財団電話リレーサービスモデルプロジェクトが開始されてからは、自分の好きな時に電話をかけることができ、自分の話したい内容を直接伝えることができるので、とても気が楽になりました。
聞こえる方の場合、社会人になると取引先やお客様など重要な場面で電話を使用する機会も多いかと思います。電話での話し方もマナーがありますが、聴覚障害者はなかなかその情報を得られにくいという実態があります。また、担当しているお客様や取引先から、聴覚障害があるのを知らず電話がかかってくるケースも多くあるようです。学生のうちに自分で電話リレーサービスを利用して、様々な方との会話やケースに慣れておくといいかもしれませんね。ぜひこの取組をもっと多くの方々に知って頂ければと思います。
余談ですが、先日米国の大統領選が行われましたね。討論会中継におけるアメリカ手話通訳も話題になりました。以下のURLの画像をご覧頂ければわかりますが、クリントン候補、トランプ候補、司会それぞれに手話通訳がつき、字幕も付いています。日本ではなかなか見られない光景ですね。
http://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/archive/1002
[英語教育コンテンツ]の取組紹介
執筆:須藤正彦、松藤みどり
本事業では、聴覚に障害のある方のための語学コンテンツとして2つ講座を作成して、インターネット上で提供しています。
1つ目は「聴覚障害学生のための留学準備Web講座」で、11のトピックスについて留学経験者(高山亨太氏、米国のギャローデット大学大学院に留学経験あり)が詳しく、手話で説明しています。その内容は、学校の選択、聴覚障害者のためのプログラムがある米国の大学、入学申請、履歴書や個人調書の書き方、英語力を示す試験TOEFLとTOEFLのリスニング免除申請、予防接種や渡米の際の必須品、SSN(社会保障番号)や住居についてと広範な内容になっています。当コンテンツには字幕もついており、将来留学を希望している方には大変有益な情報です。
2つ目は「聴覚障害者対応 TOEIC Test 対策講座」です。最近、英語力を示す指標として就職や就職後に求められることが増えつつあります。本学では従前より年3回実用英語検定試験(英検)を実施してきましたが、近年では英検を年に2回、TOEICを1回実施しています。TOEICではビジネス英語や技術英語の語彙も含まれていること、全体を速読して大意を掴むなどのスキルも求められるためにTOEIC対策が必要となります。そこで、当Web講座では先ず基本5文型の説明に加えて、総計33講座(500点以下コース13講座、500点コース8講座、600点コース12講座)を用意しています。各講座は(講義・例題)→試験問題という構成となっています。例題には説明と回答が掲載されており、質問がある場合はmailマークから質問可能なインタラクティヴな内容となっています。解説はアニメのキャラクターが行い、その読話は困難なために字幕をつけています。
上記コンテンツは以下のURLにアクセスしてください。
「聴覚障害学生のための留学準備Web講座」
http://www.a.tsukuba-tech.ac.jp/krk-web/ryugaku/
トップページからカリキュラム一覧をご覧いただけます。映像を視聴する際にはIDとパスワードが必要となりますので、事務局までお問い合わせください。
「聴覚障害者対応 TOEIC Test 対策講座」
https://www.nlc-e.com/top/tut00/
「講座サンプル」をクリックすると3講座分が視聴可能です。
詳細は障害者高等教育拠点事業事務局(krk-net★ad.tsukuba-tech.ac.jp ★を@に置き換えて下さい)までお願いします。