支援活動をとおしたキャリア発達
執筆:宇都野康子([キャリア発達支援]担当)
聴覚障害のある学生が受講する授業をパソコンノートテイクでサポートを行う大学が増えてきました。すでにパソコンノートテイクによる支援を実施している大学では、学内で支援している学生が、新たにパソコンノートテイクの支援活動を希望する学生に対して、入力方法のほか、学内の入力ルールを教える講習会を開催していることも多いようです。
こうした支援活動をとおして、チーム全体のスキルアップや連帯感の醸成が促され、支援者として活動する学生にとっては、自らの協働力や統率力といったキャリア発達に必要なスキルが培われていくのではないかと思います。また、聴覚障害学生もサポートを受けるために自身の意思を表明し、サポートを受ける過程で、自己のニーズを伝えていくスキルを身につけることで、より良い支援につながる建設的な対話が生まれることでしょう。
パソコンノートテイクに限ったことではありませんが、共に学ぶ障害学生をサポートする活動では、支援に携わる教職員への報告・連絡・相談が必要となります。これらを含めた活動をとおして、支援学生自身が担っている役割を理解し、責任を持ってやり遂げる力を培うことができる機会にもなり得ると思います。サポートする支援学生、支援を利用する障害学生の双方が、近年の就職活動で必要とされる対人スキルなどの能力や、自己効力感を高めることにつながると思います。こういった視点からも、今後パソコンノートテイクを含めて障害学生支援に関わる学生が、さらに増加してくれることを期待してやみません。